射幸行為や浪費行為があるものの免責が許可された事案
事案の概要
すでに定年退職をした男性の方でした。20年以上前から借り入れがありましたが、さほど総額も多くなかったため、返済を継続することができていました。しかし、パチンコ等で負けがかさみ、収入の減少も重なったことから、借り入れ額が増えていきました。生活費を確保するために、高額な商品をクレジットカードで購入して転売する、という行為もありました。
依頼者の方としては、住宅ローンも残っていたため個人再生と破産の両方を選択肢として考え、当事務所にご相談されました。
担当弁護士としては、依頼者の家計をチェックしました。定年退職をしていたことから、収入は少なくなっており、住宅ローンの返済を維持できる水準にないことがわかりました。妻もパートをしていましが、病気がちで、今後どれくらい勤務ができるか見通しが立たない状況もありました。
このような収支に鑑みて、住宅ローンの返済を継続しながら、他の一般債権者に対する返済を維持することは困難であると考え、担当弁護士からは、個人再生ではなく自己破産の申立てを勧めました。
依頼者の方としては、自宅を失うことへの抵抗もありましたが、住宅ローンよりも低い金額でアパートを借りることができる可能性があること、住宅ローンの残年数も長かったことから、自己破産をすることを決意しました。
弁護士の活動
申立てに必要な書類を収集するとともに、破産管財事件となる見通しが高かったので、それを見据えて、免責判断に影響がある射幸行為や浪費行為等をきちんと説明をする内容の陳述書を作成しました。
最終的に、破産管財人からは免責相当の意見を頂戴し、裁判所から免責許可決定を得ることができました。
担当弁護士の所感
射幸行為や浪費行為は免責不許可事由に該当するため、場合によっては免責が許可されない場合もあります。ただし、だからといってすぐにあきらめる必要はありません。ギャンブル=免責されないわけではなく、裁判所は債務整理に至る事情等を総合的に検討していますし、むしろ、裁判所への誠実な説明や今後の生活再建等をきちんと検討することで、免責を得られる場合もあるのです。
過去にギャンブルや浪費等で借金をした方で、返済に困っている方は、できるだけ早く弁護士にご相談ください。(担当弁護士 五十嵐勇)
掲載日:2024年11月20日