先日、私の友人のもとへ「総合消費料金未納分訴訟最終書」なるハガキが届きました(※管理番号などは消しています。)。
タイトルや差出人は様々なパターンがありますが、このようなハガキは詐欺です。
絶対に記載されている電話番号等に連絡しないでください。
せっかくなので、このハガキの内容について詳しく見てみましょう。
まず、差出人の「民事訴訟管理センター」なるものは存在しません。
かりに訴訟が提起された場合には、その裁判所から書類が届きます。ハガキでは届きません。裁判所から「特別送達」という方法で届くのですが、郵便局員から本人や同居する家族などに手渡しで交付します。その封筒の中には、「訴状」という書面や、第1回期日の呼び出し状、答弁書の書き方などが記載された書面が同封されています。
何が請求されているのかと思えば、「この度、貴方の未納されました総合消費料金について」とあります。
しかし、何の料金なのか全くわかりません。「総合消費料金」って何なのでしょうか・・・。
こんな曖昧な請求はしません。
誰が訴えてきているのか確認すると、「契約会社及び、運営会社から、訴訟申入れされた」とあります。
しかし、いったいどの会社なのかまったくわかりません。
そもそも、「訴訟申入れ」なんて言葉はありません。
「裁判取下げ最終期日」までに連絡をするよう求めていますが、そのような期日はありません。訴えの取下げは、判決が確定するまでの間いつでもできます(民事訴訟法261条)。かりに訴訟が始まり、第1回の期日がひらかれようとも、取下げ自体は可能です(いろいろルールはありますが、ここは割愛。)
このハガキが巧妙なのが、微妙にちゃんとしたことも言っているところです。
たとえば、「裁判を欠席すると相手方の言い分通りの判決が出され」とありますが、かりに本当に訴訟が提起された場合の話をすると、これはそのとおりです。
また、請求認容判決が出された場合には、それをもとに強制執行することができます。強制執行というのは、例えば給与や預金を差し押さえるといったことが可能です。
こういう文言が入っていると、本物っぽく感じられますよね。
いずれにしても、このようなハガキは詐欺ですので、無視するようにしてください。もちろん、ハガキで届く請求全般が詐欺だという趣旨では全くありません。正規に契約されている料金については、適切な方法により確認の上ご対処ください。誤解なきよう(五十嵐)。
【参考条文】
民事訴訟法 第二百六十一条 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。 2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。 3 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。 4 第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。 5 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。 |
出身地 新潟県加茂市
略 歴 新潟県立三条高等学校卒
新潟大学法学部卒
九州大学法科大学院修了
最高裁判所司法研修所修了後、弁護士登録
趣 味 サッカー、旅行(特に京都が好きです) 一 言 フットワークの軽さ・迅速な対応を心掛け ています。まずはお気軽にお問合せください。 |