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「こども六法」について

1 「こども六法」の出版

令和元年8月20日に子ども向けの法律解説書「こども六法」が出版されました。子どもに関係のある法律を分かりやすく解説した書籍として、マスコミなどで取り上げられ、話題を呼んでいます。

出版直後は品薄で購入することが難しい状況だとのことでしたが、先日、ふと立ち寄った書店で見つけたので、私も購入してみました。今回の弁護士コラムは、「こども六法」についてご紹介いたします。

 

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2 「こども六法」の内容

「こども六法」は、概ね小学校高学年程度が対象とされているようで、多くのイラストとわかりやすい言葉で法律を説明する書籍です。漢字にもすべてフリガナがふられています。


「こども六法」には、刑法・刑事訴訟法・少年法・民法・民事訴訟法・憲法・いじめ防止対策推進法の7つの法律が紹介されています。一般的に六法とは、憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法を指しますが、子どもに関わりの薄い商法を除外し、少年法やいじめ防止対策推進法を加えた法律を紹介することにしたそうです。


各法律の冒頭には、その法律がどのような法律なのかを簡単に説明してあります。例えば、刑法では「刑法は、「これをやったら犯罪」のリスト。安全な生活を守るためのルールだよ。」、民法では「民法はみんなの「あたりまえ」を支えるルール。人と人の争いを解決する基準だよ。」などと、子どもでもイメージを持ちやすいような平易な言葉でわかりやすく説明されていました。


そして、各法律の条文のうち、著者が子どもに知っておいてほしいと考える条文を、わかりやすい言葉で言い換えています。


例えば、傷害罪では「人の体を傷つけた人は、15年以下の懲役か50万円以下の罰金とします。」、傷害致死罪では「人にケガをさせ、それが原因で死なせた人は、3年以上の有期懲役とします。」などといった説明です。


法律の条文は難解な文章で書かれているものも多く、大人でも読解が困難な条文もあります。そのような中で、どのような行為が犯罪になるのか、法律にどのような規定があるのか、といった社会のルールを子どもが理解するためにはいいきっかけとなるのではないかと思います。
 

3 「こども六法」からのメッセージ

「こども六法」は、小学生の時に同級生からいじめを受け、中学で出会った刑法でそれが犯罪だと知ったことがきっかけで法教育者になったという経歴を持つ著者が、いじめなどに苦しみ、夏休み明けに気が重い子どもたちに対して、勇気を持つきっかけにしてほしいと出版した書籍だそうです。


初版の出版日が、夏休み終了前である令和元年8月20日とされたのも、夏休み明けに気が重い子どもたちに読んでほしいという著者の気持ちからなのでしょう。


同書の出版社のホームページには、以下の紹介文が記載されています。
 
 いじめや虐待は犯罪です。
 人を殴ったりけったり、お金や持ち物を奪ったり、SNSにひどい悪口を書き込んだりすれば、大人であれば警察に捕まって罰を受けます。
 それは法律という社会のルールによって決められていることです。
 けれど、子どもは法律を知りません。
 誰か大人が気づいて助けてくれるまで、たった一人で犯罪被害に苦しんでいます。
 もし法律という強い味方がいることを知っていたら、もっと多くの子どもが勇気を出して助けを求めることができ、救われるかもしれません。
 そのためには、子ども、友だち、保護者、先生、誰でも読めて、法律とはどんなものかを知ることができる本が必要、そう考えて作ったのが本書です。
 小学生でも読めるように漢字にはすべてルビをふり、法律のむずかしい用語もできるだけわかりやすくして、イラスト付きで解説しています。
 大人でも知らないことがたくさんある法律の世界、ぜひ子どもと一緒に読んで、社会のルールについて話し合ってみてください。
 (弘文堂HP https://www.koubundou.co.jp/book/b451093.html
 
「こども六法」は、子ども向けの法律解説書というだけでなく、著者からいじめで悩んでいる子どもたちに対する、「いじめは犯罪だということを知ってほしい」「法律が強い味方であると知ってほしい」「一人で悩まずに信頼できる大人に相談してほしい」という強いメッセージが感じられました。


あとがきの「いじめに悩んでいるきみに」という箇所には、いじめを受けて悩んでいる子どもに向けて、いじめにどのように対処すべきかが記されています。
 

4 法律知識の重要性

法律知識の有無は、現代社会にとって非常に重要です。一つの条文を知っているかいないかが自分の判断や行動に影響し、それが結果を大きく左右することもあるからです。また、自分がどのように行動したらいいのか悩むような時も、法律の知識があるによって行動方針が明確になることがあります。


弁護士として、毎日のように多くの方々からトラブルのご相談を受けていると、法律相談の後に、「相談して不安がなくなりました」「相談してすっきりしました」などと言っていただくことがよくあります。


法律は、社会におけるあらゆるトラブルを解決する指針です。トラブルを抱えてお悩みの方は、法律の専門家である弁護士にお気軽にご相談ください。

 

執筆者情報

江幡 賢  Ken Ebata

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出身地 大阪府豊中市
略歴 早稲田大学法学部卒
   神奈川大学法科大学院修了
   最高裁判所司法研修所修了後,弁護士登録

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