新型コロナウイルス感染にかかる問題が拡大しており、連日、新たに確認された感染者数などが刺激的に報道されています。
多くの音楽・スポーツイベントが中止され、株価が暴落するなど、事業・経済に対する多大な影響が指摘されていますし、売り上げが減少するお店や、収入が減少する方の増加が予想されるなど、新型コロナウイルス問題は、私たちの生活に大きな影響を与えています。
裁判の現場である裁判所においても、新型コロナウイルスの影響は少しずつ広まっています。
今回は、新型コロナウイルスの裁判手続などへの影響について取り上げます。
最高裁判所は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、今年2月26日、至急ではない裁判日程については、柔軟に変更を検討するようにと全国の裁判所へ周知を行いました。
また、今年3月6日、最高裁判所は、新型コロナウイルス感染リスクを軽減させるため、民事訴訟の上告審判決で、傍聴人に対し、間隔を空けて傍聴席に座らせるという措置を初めて取るとともに、同様の対応を全国に対して周知しました。
それを受けて、その後、全国各地の地方裁判所で開かれた多くの裁判で、傍聴人に対して一席おきに座らせるという措置がとられています。
また、刑事事件では、全国各地の地方裁判所で開かれる予定であった裁判員裁判の期日が取り消されることも多々あったようです。
新潟地裁の発表によれば、これまで、新潟県内の裁判所では、数件の裁判期日が変更されたとのことです。一般的に、3月下旬から4月上旬は、裁判官の異動時期ということもあり、他の時期に比べて、予定されている裁判の期日があまり多くなかったことや、新潟県内ではそこまで多くの感染者がまだ確認されていないことなどが、期日変更が数件にとどまった理由ではないかと思います。
また、傍聴人に対し、一席おきに傍聴席に座ってもらうなどといった措置は、全国の地方裁判所同様に行っているとのことです。
私が担当している事件では、3月上旬に支部で行われる予定だった調停事件の期日が、新型コロナウイルスの影響を受けて取り消しになりました。また、他の弁護士から聞いた話でも、破産事件において予定されていた債権者集会期日が変更されるなど、裁判以外の期日などの予定が変更となったケースが、少なからずあったようです。
今のところ、新潟県内では、裁判手続において、新型コロナウイルス問題がそこまで大きな混乱を引き起こしてはいないようです。
しかしながら、今後、裁判所を起点としたクラスターが構成される可能性など、まだまだ予断は許さない状況が続きそうです。
当事務所でも、昨今の新型コロナウイルス問題を受けて、執務室・相談室の換気を心掛ける、可能な限りマスクを着用する、広めの相談室を優先的に使用するといった感染症対策をとっています。また、万が一コロナウイルスが事務所で発生したときのために、在宅勤務が可能な環境を確保するなどといった準備を進めています。
新型コロナウイルス問題がいつ頃鎮静化するかについては、現時点では、未だ目途が立っていません。デマなどの情報も散見されていますが、正確な情報をキャッチし、臨機応変に対応できるよう心がけるとともに、自分にできる感染症対策を地道に続けていこうと思います。
出身地 大阪府豊中市
略歴 早稲田大学法学部卒
神奈川大学法科大学院修了
最高裁判所司法研修所修了後,弁護士登録
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