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コンビニ24時間営業の強制と独占禁止法について 弁護士 江幡 賢

1 公正取引委員会の見解


令和2年9月、公正取引委員会は、コンビニエンスストア本部が加盟店に24時間営業を強制することは独占禁止法違反に該当する可能性があるとの見解を示しました。また、公正取引委員会は、コンビニエンスストアのフランチャイズチェーン8社に対し、取引状況の点検と自主改善を要請し、11月末までに報告するように求めました。


これまでも、大手コンビニエンスストアにおいて、加盟店に対して24時間・365日営業を強制する本部と、人手不足などを理由に本部の許可なく営業時間を短縮した加盟店との間で対立が生じ、コンビニエンスストアオーナーの過酷な実態がマスコミで大きく報じられていました。
 

今回の弁護士コラムでは、独占禁止法の内容や、コンビニエンスストア本部と加盟店の関係についてご説明します。

 

2 独占禁止法とは

独占禁止法は、正式名称を「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、企業の公正かつ自由な競争を促進することを目的として定められた法律です。
 

独占禁止法が禁止する行為のなかに「優越的地位の濫用」というものがあります(独占禁止法2条9項5号)。


独占禁止法が禁止する「優越的地位の濫用」とは、自己の取引上の地位が相手方に優越している一方当事者が、取引の相手方に対し、地位等を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為をいいます。


今回問題となっているのは、コンビニエンスストアの本部と加盟店との関係で、優越した地位であるコンビニ本部が、弱い立場にある加盟店に対し、その優越的な地位を利用して不当に不利益を与えているのではないかという点です。

3 コンビニ本部と加盟店の関係

コンビニエンスストア本部と加盟店とは、別々の事業者であり、本来は対等な関係にあるはずです。しかし、経営ノウハウや在庫管理を請け負う本部は、事実上加盟店に比べて強い立場にあります。


コンビニエンスストア本部と加盟店との間の取引には、「年中無休・24時間営業の強制」「仕入れ数量の強制(無断発注を含む)」など、様々な問題があると指摘されており、今回、これらの加盟店に対する強制行為などが、独占禁止法が禁止する「優越的地位の濫用」にあたるのではないかと問題視されました。

4 公正取引委員会の調査

公正取引委員会は、この度、日本全国の大手コンビニエンスストアチェーン店約5万7000店舗に対し、初めての大規模実態調査を行い、約1万件の回答が得られました。


その調査結果によると、24時間営業については、「引き続き24時間営業を続けたい」と回答した店舗は33.2%にとどまり、66.8%は、「人手不足などにより一時的に時短営業に切り替えたい」「一度実験してみたい」「時短営業に完全に切り替えたい」と回答しました。


また、仕入れ数量の強制については、「本部から強く推奨され、意に反して仕入れいている商品」が「ある」と回答した店舗が51.5%に上り、「必要以上の数量を仕入れるよう強要された経験の有無」が「ある」と回答した店舗が47.5%でした。


これらの調査結果を受けて、公正取引委員会は、コンビニエンスストアのフランチャイズチェーン8社に対し、取引状況の点検と自主改善を要請し、11月末までに報告するように求めました。

 

5 今後

公正取引委員会が審査した結果、24時間営業や仕入れの強制などが、「優越的地位の濫用」に該当すると判断された場合には、公正取引委員会が、各コンビニエンスストア本部に対し、違反行為を除くために必要な措置を命ずる可能性があります。
もはや社会的なインフラとしてコンビニエンスストアが果たす社会的役割は非常に大きいものと言えます。他方で、望まない過度な負担を強いられ、苦慮する加盟店が存在するということもまた事実です。
 

現在、大手コンビニエンスストアチェーン店では、どこのお店でも24時間オープンしているのがあたりまえといった状況ですが、今後は24時間営業しないコンビニエンスストアが増えるかもしれません。

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執筆者情報

江幡 賢  Ken Ebata

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出身地 大阪府豊中市
略歴 早稲田大学法学部卒
   神奈川大学法科大学院修了
   最高裁判所司法研修所修了後,弁護士登録

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