・受動喫煙防止を内容とする法律の改正について
・「ながら運転」の厳罰化
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弁護士法人美咲総合法律税務事務所では、法務・税務関連のニュースや弊事務所の近況などを、ニュースレターとして不定期にお送りさせていただいております。
さて、22回目の今回は、昨年改正された健康増進法と「ながら運転」の厳罰化についてお伝えいたします。
2018年7月、「健康増進法の一部を改正する法律」(以下「改正法」といいます。)が成立・公布されました。改正法は、望まない受動喫煙の防止を図るため、多数の者が利用する施設等の区分に応じて、一定の場所を除き喫煙を禁止するとともに、施設等の管理について権原を有する者が講じるべき措置等について定めたものです。
「多数の人が利用する施設」とは、2人以上の人が同時に、または入れ替わり利用する施設を指します。
改正法では、上記施設について以下のとおり、第一種施設、第ニ種施設の2つに分類し、それぞれ規制のルールを定めています。
・第一種施設
学校、病院、児童福祉施設、国・地方自治体などの行政機関の庁舎などの受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が主として利用する施設。
・第ニ種施設
多数の者が利用する施設のうち、第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設。飲食店、ホテル、スーパー、コンビニエンスストア、映画館、ゲームセンター、事業所(職場)、社会福祉施設、国会、裁判所など。ただし、ホテルの客室や人の居住用の場所は除く。
屋内は加熱式たばこを含め全て禁煙。
屋外においても原則禁煙であるが、一定の受動喫煙防止措置がとられた喫煙場所(特定屋外喫煙場所)での喫煙は可能。
イ 第二種施設
屋内においては原則禁煙であるが、たばこの煙の流出を防止するための技術的水準に適合する喫煙室(喫煙専用室または指定たばこ(加熱式たばこ)専用喫煙室)での喫煙は可能。加熱式たばこ専用の喫煙室では飲食は可能だが、喫煙専用室内での飲食は不可。
屋外においては喫煙可能。ただし、子どもなど受動喫煙により健康を損なうおそれが高い者が多く利用する場所は、特定施設と同様に受動喫煙を防止するための措置を講じることが望ましい。
・喫煙が禁止されている場所に灰皿等を設置しない。
・20歳未満の者を喫煙が可能な場所に立ち入らせない。
・喫煙室を設けた場合、出入り口などの見やすい箇所に喫煙室がある旨の標識を掲示。
・労働者の募集や求人の申込みをする際に、職場における受動喫煙を防止するための措置に関する事項を明示(屋内全面禁煙など)
喫煙が禁止されている場所に灰皿等を設置したり、20歳未満の者を喫煙が可能な場所に立ち入らせるなどの違反行為をした場合には、都道府県知事などによって指導がされます。
指導によっても改善が見られない場合には、勧告、命令、事業者名の公表などを行い、最終的には50万円以下の過料が課されます。
第一種施設については、2019年7月1日より施行されております。
第ニ種施設については、2020年4月1日より施行される予定です。
「ながら運転」をした場合、これまでは「5万円以下の罰金」でしたが、2019年12月の施行後は、「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」となります。
また、「ながら運転」をして交通事故などの危険を生じさせた場合、これまでは「3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金」でしたが、施行後は、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。
これに伴い、警察庁は、「ながら運転」の反則金や違反点数を3倍程度引き上げる改正道路交通法施行令案を公表しました。
これまでは、運転中に携帯電話を使用しながら運転した場合の違反点数は1点、携帯電話を使用しながら交通の危険を生じさせた場合(交通事故など)の違反点数は2点でしたが、この点数がそれぞれ3倍となるというのが施行令案の内容です。
つまり「ながら運転」で事故を起こした場合には、違反点数が6点となるため、免許停止になります。
改正法における受動喫煙防止のための措置は、学校や病院、飲食店だけではなく、一般の会社の事業所も対象になります。
社内での全面禁煙や就業時間内の喫煙を全面的に禁止するなどの措置を既に実施している会社もあります。
社員の健康増進のため、今回の法律改正を機会に、会社内での禁煙措置について検討してはいかがでしょうか。(弁護士 江畑博之)Vol. | 発刊月 | メインテーマ |
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