・新型コロナウイルスに関する労務問題 Q&A
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弁護士法人美咲総合法律税務事務所では、法務・税務関連のニュースや弊事務所の近況などを、ニュースレターとして不定期にお送りさせていただいております。
さて、さて、26回目の今回は、深刻な事態となっている新型コロナウイルスに関する労務問題や助成金についてお伝えいたします。
Q.新型コロナウイルスの予防や仕事がないからという理由で労働者を休業させる場合、休業手当はどのようにすべきですか。
なお、使用者が新型コロナウイルスの影響により労働者を休業させ、休業手当を支払った場合には、休業手当の一部の助成を受けられる可能性があります(詳細は同封した資料をご参照下さい)。
Q.労働者が発熱などの風邪の症状がある場合、労働者に有給取得を利用して休業を指示することに問題はあるでしょうか。
A.有給は労働者が自由に行使できるものですので、使用者が一方的に指示できるものではありません。
熱が37.5度以上あることなど一定の症状があることのみをもって一律に労働者を休業させる場合のように、使用者の自主的な判断で休業させる場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業に当たると考えられ、休業手当を支払う必要があります。
なお、発熱などの症状があるため、労働者が自主的に休む場合は、通常の病欠と同様に取り扱い、病気休暇制度を活用すること等が考えられます。
Q.労働者が発熱などの風邪の症状がある場合、労働者に有給取得を利用して休業を指示することに問題はあるでしょうか。
A.新型コロナウイルスに感染しており、都道府県知事が行う就業制限により労働者が休業する場合は、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業に当たらないと考えられますので、休業手当を支払う必要はありません。
なお、労働者が被用者保険(健康保険など)に加入している場合には、要件を満たせば、各保険者から傷病手当金が支給されます。
Q.労働者が新型コロナウイルスに感染したため休業させる場合、休業手当はどのようにすべきでしょうか。
A.濃厚接触者であっても、全く症状がない場合には、一般的には休業させずに職務を継続することが可能であると考えられます。職務を継続することが可能な労働者に対し、使用者の判断で休業させる場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業とされ、休業手当を支払わなければならない可能性があります。
もっとも、濃厚接触者である労働者が保健所等から自宅待機の要請を受けた場合に休業させる場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による」休業には当たらないと考えられることから、休業手当を支払う必要はないと思われます。
Q.学校の一斉休業に伴い、子供の面倒を見るために労働者が自主的に休業した場合、賃金や休業手当を支払う必要はあるのでしょうか。
A.労働者が自主的に休業した場合には、賃金や休業手当を支払う必要はありません。
なお、法律上の年次有給休暇とは別に、使用者が労働者に有給を取得させた場合には、休暇中に支払った賃金全額(1日の上限は8,330円)が使用者に助成されます(詳細は同封した資料をご参照下さい)。
【内容】
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主(使用者)が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者の雇用の維持を図った場合に、休業手当や賃金等の一部を助成するもの
【新型コロナウイルスに関する特例措置の対象となる事業主】
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主
(例.観光客の減少の影響を受ける観光関連産業、部品の調達・供給などの停滞の影響を受ける製造業など)
【制度の概要】
・休業等を実施した場合に使用者が支払った休業手当等の内、大企業は2分の1、中小企業は3分の2を助成(ただし、1人1日あたりの上限は8,330円)
・支給限度日数は100日
【特例措置の概要】
・休業等の初日が令和2年1月24日から7月23日まで
・6ヶ月未満の労働者も助成対象
・過去に雇用調整助成金を受給した事業主であっても、要件を満たせば助成可
・本来、休業等を実施する前に提出を要する休業等計画届の事後提出可能(ただし、令和2年5月31日までに提出)
※詳細は、こちらの資料をご参照下さい。
【内容】
新型コロナウイルスに関する対応として臨時休業等をした小学校等に通う子供等の世話を保護者として行うことが必要になった労働者に対して、法律上の年次有給休暇を除く有給休暇を取得させた使用者への助成金制度
【助成の内容】
令和2年2月27日~3月31日までの間に有給休暇(法律上の年次有給休暇を除く)を取得した対象労働者に支払った賃金相当額100%(ただし、1人1日当たりの上限は8,330円)
【申請期間】
令和2年3月18日~6月30日まで
※詳細はこちらの資料をご参照下さい。
会社によっては、まだその影響が表面化していない場合もありますが、今回のニュースレターで触れた労務問題等は、どの会社にも生じる可能性があります。
いざ問題が生じた時に後手後手にならないように、生じうる問題については、早めに対策を講じておくことをお勧めします。(弁護士 江畑博之)
Vol. | 発刊月 | メインテーマ |
31 | 2022年1月 | 2022年に実施される法律 |
30 | 2021年6月 | 事業承継について考える |
29 | 2021年1月 | ウィズコロナ時代の労務管理のポイント |
28 | 2020年9月 | まだ間に合う、新型コロナ関連の給付金・補助金等 |
27 | 2020年6月 | インターネット・名誉棄損・コロナ・懲戒・プライバシー |
26 | 2020年4月 | 新型コロナウイルスに関する労務問題Q&A |
25 | 2020年2月 | 事業承継について |
24 | 2019年12月 | パワハラ防止対策について |
23 | 2019年10月 | 契約書作成のポイント |
22 | 2019年8月 | 受動喫煙防止を内容とする法律の改正について |
21 | 2019年6月 | SNSと雇用管理について |
20 | 2019年4月 | 年次有給休暇付与の義務化について |
19 | 2019年2月 | 勾留延長?準抗告?保釈って? |
18 | 2018年12月 | 働き関連法の概要 |
17 | 2018年10月 | その「懲戒処分」、大丈夫ですか? |
16 | 2018年8月 | 成人年齢引き下げ(18歳)について |
15 | 2018年6月 | 交通事故(物損)Q&A |
14 | 2018年4月 | 民法(相続分野)改正 |
13 | 2018年2月 | 債権回収の進め方 |
12 | 2017年12月 | 「経営者保障に関するガイドライン」とは? |
11 | 2017年10月 | 民法(債権分野)改正 |
10 | 2017年8月 | 残業時間に関する規制の概要 |
9 | 2017年6月 | 個人情報保護法改正ー中小企業実務への影響 |
8 | 2017年4月 | 相続の基本と相続Q&A |
7 | 2017年2月 | 従業員の交通事故に対する会社の責任 |
6 | 2016年12月 | 成年後見制度について |
5 | 2016年10月 | 職場のメンタルヘルス対策,大丈夫ですか? |
4 | 2016年8月 | 刑事手続きの流れ |
3 | 2016年6月 | 離婚問題について |
2 | 2016年4月 | 遺言を残すにはメリットがあります |
1 | 2016年2月 | これだけは知っておきたい!交通事故の注意点! |