2016年10月発行
- 職場のメンタルヘルスは大丈夫ですか?
- 新潟県で交通事故の多い交差点はどこ?
- 京都へ行ってきました
※pdf版をご覧になられたい方はこちらか下記の写真をクリックしてください。
弁護士法人美咲では,法務・税務関連のニュースや弊事務所の近況などを,ニュースレターとして不定期にお送りさせていただいております。
5回目の今回は労務管理の問題としてメンタルヘルス対策について採りあげています。また,平成27年に新潟県で交通事故が多発した交差点についてご紹介しています。
いよいよ寒さを感じる季節となりましたら,体調など崩さぬようお過ごしください。(執筆担当 弁護士 五十嵐 勇)
職場のメンタルヘルス対策,大丈夫ですか?
平成27年12月に労働安全衛生法が改正され,いわゆる「ストレスチェック」の実施が義務付けられました(従業員50人未満の事業場については当面の間努力義務)。また,今年10月6日には,大手広告代理店従業員の自殺が労災認定されたというニュースが報道され,時を同じくして,厚生労働省が「平成28年版過労死等防止対策白書」(以下「白書」といいます。)を公表するなど,昨今は従業員のメンタルヘルス(精神面における健康)に関連する問題が大きく取り上げられ,社会的な問題となっています。
白書によれば,業務における心理的負荷による精神障害を発病したとする労災請求の件数が増加傾向にあり,認定された件数は,平成11年度が14件でしたが,平成27年度には472件と約30倍もの件数にのぼります(P29)。労災として認定された案件を業種別にみると,製造業が最も多く,卸・小売業,運送業郵便業がそれに引き続いて多くなっています(P30)。
従業員がメンタルヘルスの問題をかかえるということは,生産性の低下や当該従業員が休職した場合の医療費などの負担が生じるだけでなく,何らかの事故が発生した場合の会社のイメージダウン等様々な問題に波及します。また,従業員が業務の過重が原因で精神障害を発病した場合やその精神障害を理由に従業員が自殺した場合には,会社が多額の損害賠償義務を負う場合もあります。
長時間労働により従業員がうつ病にり患したにもかかわらず,上司が何ら休息をとれるような措置を講じず,その従業員が自殺したため,その従業員の遺族が会社に対して損害賠償を求めた事件で,
最高裁判所は「使用者は,その雇用する労働者に従事させる業務を定めてこれを管理するに際し,業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないように注意する義務」を負うと述べた上で,
「恒常的に著しく長時間にわたり業務に従事していること及びその健康状態が悪化していることを(会社側は)認識しながら,その負担を軽減させるための措置を採らなかった」として,会社に対し約1億2600万円の損害賠償金の支払いを命じています(最高裁平成12年3月24日判決 電通事件)。
職場のメンタルヘルス対策の重要性をご理解いただけたでしょうか。会社としては,従業員の労働時間などを適切に管理することはもちろんのこと,何か普段と様子が違う従業員に対して適度な休息を与えたり,コミュニケーションがとれる環境づくりが重要になります。
従業員のメンタルヘルスについては,例えば,復職時期をいつにすべきなのか等様々な法律問題があります。ご不明な点などがあれば,当事務所までお問い合わせいただければと存じます。
新潟県で交通事故の多い交差点はどこ?
一般社団法人日本損害保険協会(SONPO)が毎年公表している各都道府県の交通事故が多発する交差点の情報ですが,平成27年分が公表されました。今年は新潟市東区の「平和町交差点」での事故が多かったようです。空港へ行くときに通りますが,他の交差点と比較して何か事故が発生しやすい特徴があるとは思っていませんでした。みなとトンネルから出てきた車両が通る道ですが,何か関係があるのでしょうか。
No. | 場所 | 事故件数 |
1 | 平和町交差点(新潟市東区宝町1番32号) | 6件 |
2 | 女池インター交差点(新潟市中央区女池8丁目16番17号) | 5件 |
2 | 笹越橋交差点(新潟市中央区笹口4番8号) | 5件 |
2 | 曽和交差点(新潟市西区曽和405番地) | 5件 |
5 | 万国橋交差点(新潟市中央区沼垂西3丁目10番17号) | 4件 |
(出典:https://www.sonpo.or.jp/protection/kousaten/kousatenmap27/15/)
「笹越橋交差点」は平成21年に公表されたときもワースト3に入っており,右折車両と直進車両の事故件数の割合が高い点が特徴です。皆さんが普段お使いになられる交差点も入っていたでしょうか。交通事故が多いか少ないかにかかわらず,車の運転は安全運転を心がけたいですね。
京都へ行ってきました
少し時間を作って京都へ行ってきました。京都には何度も遊びに行っているのですが,今回は私の好きな大原を散策しました。
地下鉄烏丸線で国際会館まで行き,そこからバスで20分くらい揺られたどり着きます(「揺られ」というのは比喩ではなく,バスが古いためか,文字通り上下に大きく揺さぶられます)。大原には散策コースがあって,ゆっくり歩いて回ります。宝泉院では抹茶をいただきながらのんびりすることができました。紅葉の季節もよいですが,夏に苔をながめるのもまた趣があるように思います。
翌日は市内の「西陣 鳥岩楼」で親子丼を食しました。今出川駅から歩いて10分くらいのところにある風情あるお店で,卵はふわっとしていて,また,あっさりとした風味を楽しめます。昼食を終えてから宇治へ行きました。宇治ではまたも抹茶をいただきました。抹茶味のデザートはあまり好きではないのですが,抹茶はとても美味しいですね!お茶に興味をもった京都旅行でした。
編集後記
さて,話は変わりますが,今回のニュースレターでは従業員のメンタルヘルス対策について採りあげました。メンタルヘルスの問題はパワハラやセクハラとも深く関連していて,こういったハラスメントが原因で精神疾患となってしまうケースも見受けられます。管理職や従業員へハラスメント防止教育を実施することや,相談窓口を確保することも重要になるでしょう。
精神障害の発症は時間労働時間の長さにも関連がありますが,この時間外労働時間数は脳血管疾患等にも関係があります。通達(平成13.912.12基発1063号)では,心筋梗塞や脳内出血の発症前1か月の時間外労働がおおむね100時間を超えている場合には業務と発症との関連性が強いという評価をしているのです。
労働環境の整理は会社にとって重要な課題ですから,予防法務の観点から,わからないことがあればいつでもご相談下さい。(弁護士 五十嵐 勇)