無料駐車場完備
025-288-0170
受付平日9:30〜18:00(夜間土日祝応相談)

Vol.16 成人年齢引き下げ(18歳)について

2018年8月発行

  • 成人年齢引き下げ(18歳)について
  • 日本型司法取引の導入

※pdf版をご覧になられたい方はこちらか下記の写真をクリックしてください。

弁護士法人美咲では、法務・税務関連のニュースや弊事務所の近況などを、ニュースレターとして不定期にお送りさせていただいております。
さて、16回目の今回は、140年ぶりに見直しとなる成人年齢の引き下げについてご紹介させていただきます。

成人年齢引き下げ(18歳)について

成人年齢が18歳に!

平成30年6月13日の参議院本会議で、成人年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法が可決、成立しました。2022年4月1日に施行されることになりますが、1876年に成人年齢が満20歳とされて以来、実に140年以上ぶりの見直しとなります。

そこで、今回は、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられることに伴い、どのような変化が生じるかについて、簡単にご紹介いたします。

①契約当事者になれる

20歳未満の未成年者が有効に法律行為をするには、法定代理人の同意が必要です(民法5条1項)。法定代理人の同意のない法律行為は、取り消すことができます(民法5条2項)。

しかし、成人年齢が18歳に引き下げられることにより、18歳や19歳でも有効に法律行為を行うことができるようになります。

例えば、18歳の高校生が、消費者金融で借り入れをすることができるようになったり、親の承諾なくクレジットカードを作ることができるようになる可能性があります。


18歳から契約当事者になれることについては、若者がクレジットカードを安易に使用してしまい、自己破産の件数が増えるのではないか、資格商法など悪徳商法のターゲットになってしまうことなどが危惧されているようです。

②結婚できる年齢

現在、未成年の結婚については、父母の同意があれば、男性は18歳、女性は16歳から、結婚することができます。

しかし、成人年齢が引きさげられることに伴い、男性・女性共に結婚できる年齢が18歳になります。
男性にとっては、父母の同意がなくても18歳で婚姻できることになりますが、女性にとっては、父母の許可があれば16歳で結婚できたのが、18歳まで結婚できないということになります。

昔は、女性の結婚年齢が早かったことから、民法は女性と男性とで差を設けていましたが、現代では、ともに成人で婚姻できるとするのが合理的だと考えられています。

③パスポート

現在、10年間有効のパスポートは、20歳にならないと作ることができず、20歳未満の方は5年間有効のパスポートしか作ることができません。

しかし、成人年齢が18歳に引き下げられることに伴い、18歳から10年間有効のパスポートを作ることができるようになります。

④ 飲酒・喫煙・ギャンブルなどは?

飲酒・喫煙・ギャンブルについても議論がなされましたが、解禁の年齢は20歳のままになりました。
未成年者に対する健康・精神上悪影響を及ぼす可能性のあるこれらについては、ある意味当然の結論かもしれません。

法律上「未成年」について禁止すると表現されていた条文については、年齢を指定する条文へと変更されることになります。
また、国民年金保険の納付に関する年齢要件も、現在の20歳のままで、18歳に引き下げられません。

まとめ

成人として扱われる最も重要な点は、やはり、単独で契約当事者になることができるということです。
契約の当事者になることができるということは、他方で、大人と同じような判断力が求められるということにもなりますので、成人として扱われることになり、ローン契約やクレジット契約を締結する際には、注意が必要です。

日本型司法取引の導入

最近、刑事訴訟法も改正され、平成30年6月から、刑事事件において、司法取引が導入さました。

日本において導入された司法取引は、特定の財政経済犯罪及び薬物銃器犯罪(刑事訴訟法350条の2第2項各号の「特定犯罪」)について、検察官と被疑者・被告人が、弁護人の同意がある場合に、被疑者・被告人が、共犯者等他人の刑事事件の解明に資する供述をし、証拠を提出するなどの協力行為を行い、検察官が、その協力行為の見返りに、被疑者・被告人に有利に考慮して、これを不起訴にしたり、軽い罪で起訴したり、軽い求刑をするなどを内容とする「合意」をすることができるとし、このような両当事者間の協議・合意を通じて、他人の犯罪行為の訴追・処罰に必要な供述証拠等を獲得しようとするものです。

対象となる犯罪は、贈賄・収賄などの汚職事件、特殊詐欺などの組織的犯罪処罰法が定める一定の犯罪、覚せい剤取締法・銃刀法などの薬物・銃器犯罪に加え、脱税や独占禁止法違反などの犯罪も対象となっています。

司法取引によって、重要な犯罪の捜査に役立つ情報が得られたり、事件の迅速な処理が期待できます。
しかし、自分の処罰を軽くするためなどの動機で、虚偽の供述がなされることによって、冤罪が生まれてしまう可能性も危惧されています。

編集後記

昨今、民事・刑事ともに、皆様の生活に影響する多くの法改正がなされています。

昔に作られた法律が、現代の社会に適合しなくなるなど、新たな法改正の必要性が生じるために法律が改正されるのですが、我々は、法律の改正をしっかりとフォローしていかなければなりません。最近は、ネットなどで簡単に法律に関する情報を手に入れることができますが、それらの情報が最新の法改正を反映していない可能性もあります。

法律に関するお悩みがある方は、是非、専門家である弁護士にご相談下さい。(弁護士 江幡 賢)