2021年6月発行
- 事業承継について考える
- 事業承継セミナーを実施しました!
- 五十嵐弁護士の近況報告
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弁護士法人美咲では、法務・税務関連のニュースや弊事務所の近況などを、ニュースレターとして不定期にお送りさせていただいております。
さて、30回目の今回は『事業承継』についてお伝えします。
事業承継について考える
事業承継の社会問題化
経営者の引退年齢が高齢化しており、中小企業経営者の平均引退年齢は中規模企業で66.7歳、小規模事業者では70.5歳というのが現状です。
しかし、きちんと後継者への引き継ぎ準備を進めることができている経営者の割合は、60代の経営者では25.5%、70代の経営者では30.8%であり、(出典:株式会社帝国データバンク「事業承継に関する企業の意識調査(2020年)3頁」)、多くの経営者はその準備ができていないことが明らかになっています。
それでは、事業承継は何をどのように進めればよいのでしょうか。
株式の承継について
事業承継は会社によって適切な対応策が異なりますので、一つの正解があるわけではありませんが、一般論として、後継者に株式を集約することはとても重要なことです。なぜなら、取締役や監査役の選任、定款の変更、重要な財産の譲渡など、会社の方針や株主総会で決定しなければならず、後継者が株式を保有していなければ、会社の方向性を定めることができず、安定した経営を行うことができないおそれがあるためです。1株でも有していれば、株主代表訴訟を提起することが可能であり、会社にとって少数株主をそのままにしておくことは、予期せぬ問題が生じる可能性があり、潜在的なリスクがあるといえます。
株式の集約の方法
多くの中小企業では経営者が大株主だと思いますので、まずその株式を後継者に譲渡します。譲渡の方法には、売買、贈与、遺言の方法がありますが、生前に対策をするのであれば売買か贈与を検討することになります。いずれも株価の適正な評価を行うことが大前提ですし、多くの中小企業は定款によって株式の譲渡制限が定められていますから、株主総会(取締役会設置会社の場合は取締役会)の譲渡承認手続きや株券の交付など、会社法上の手続きをきちんと履践することが必要不可欠です。
これらの手続きを怠ると、後から株式の譲渡の法的効力を争われるリスクがあり、結果的に会社の運営に支障をきたすことがあるためです。
後継者に株式を集約し、それでも少数株主がいる場合は、すでに後継者が議決権の90%以上を保有しているのであれば、売買契約や贈与契約をしなくとも、会社法の手続きによって、少数株主から株式を取得することが可能です。
90%以上保有していない場合には、少数株主から買取をしたり、また、株式併合などの手続きをとることが考えられます。
まとめ
今回は事業承継が社会問題になっていること、株式を集約する手段などについてお話ししました。
しかし、事業承継の問題はこれらに限られず、経営者の育成や税金の問題など多くの課題をクリアしなければなりません。事業承継の対策は早く行なっていくに越したことはありません。
事業承継をお考えの経営者の方は、ぜひ当事務所までお気軽にご相談ください。
事業承継セミナーを実施しました!
2月19日と4月23日に、メディアシップにて事業承継セミナーを開催しました!どちらの日も多くの方々にご参加いただき、ありがとうございます。
次回は6月18日午後2時30分から実施いたします。初めてご参加の方も大歓迎ですし、参加費は無料ですので、ぜひお気軽にご参加ください!
五十嵐弁護士の近況報告
4月に当事務所の藤井税理士、江畑博之弁護士、私(五十嵐)とでノーブルウッドへゴルフに行きました!暖かくなってきたので、早朝スルーでプレーしました。藤井、江畑ともにベストスコア更新です。私(五十嵐)は安定のダボペースでした。パターが全然上手くなりません。
いつか弊所事務所主催のコンペを開催したいという願いを持っています。
次回は全員でベストを出せるように練習に励みたいと思います。
編集後記
事業承継の分野は奥が深く、特に家族経営の企業の場合は、背後にある人間関係が絡んでくるため、正解が一つではありません。また、経営者にとってご自身の経営権の譲渡は、なかなか相談ができず、問題をかかえこんでしまい、いざ事業承継しようと考えてもタイミングを逃してしまう場合もあります。早め早めの対応が大切ですので、事業承継についてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください(弁護士 五十嵐 勇)。