保釈が認められるまでの手続の流れを説明します。
まず,起訴されたら,弁護人は裁判所に対して「保釈請求書」を提出します(なお,保釈請求は,本人又はその弁護人以外には,両親や配偶者,兄弟姉妹も請求することができます。但し,恋人や友人には保釈請求権は認められていません)。
この保釈請求にあたって,定住する自宅があって生活の拠点があることや,逃亡しないように監督を誓約している身柄引受人の存在等を記載して逃亡のおそれがないことを主張したり,すでに捜査機関が証拠を確保しているため罪証隠滅のおそれがないこと等を主張します。
また,保釈請求をする際には,上述した身元引受人の存在は欠かせません。
この身元引受人には誓約書を書いてもらい,保釈請求書と一緒に裁判所に提出します。身元引受人には,家族以外の方がなることもありますが,監督の実効性がなければなりませんので,あまりに関係が薄い人や居住先が遠方のために監督が期待できない方は,身元引受人として不適当です。
裁判所は,弁護人等からの保釈請求を受け付けた後,検察官に対して意見を聴取します
この検察官の意見や弁護人等の主張を踏まえ,裁判所が保釈を認めるかどうか,かりに保釈を認める場合に保釈保証金をどの程度の金額に設定するのか,保釈の条件をどのようにすべきかを判断します。
裁判所から保釈の判断が出されるまでの時間は一概に言えないのですが,1~3日程度かかります(事件の性質や裁判所や検察の都合等により,判断されるまで時間には幅があります)。
保釈保証金の金額は,犯罪の内容や被告人の経済力等を総合的に判断して決定されます。
例えば,犯罪が重大で,実刑判決が予想される場合にはそれだけ逃亡する可能性が高くなると判断される傾向にあるので,担保である保釈保証金の金額が高く設定される,ということになるので,なお,資産等も考慮するため,ニュースになるような大手企業の役員や芸能人の保釈保証金が数千万円から数億円とされることもあるのです。
多くの事件では150万円~300万円程度になることが多いと言われますが,事件により金額は異なりますので,ご参考程度にお考え下さい。
保釈保証金を裁判所に納めなければ身柄が解放されることはありません。
そのため,保釈請求する場合には資金を手元に確保しておく必要があります。(すぐに現金が用意できないという場合には,立替制度等をご案内することもございます)。
そして,裁判所が保釈決定を出し,被告人側で保釈保証金を納付が完了した後,被告人の身柄が解放されます。
刑事訴訟法 第88条1項 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。 |
刑事訴訟法 第93条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。 2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。 3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。 |
刑事訴訟法 第94条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。 2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。 3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。 |