全ての痴漢行為が迷惑行為等防止条例違反として扱われるわけではありません。
場合によっては「強制わいせつ罪」に該当することがあり得ます。
これは条例ではなく「刑法」で定められている犯罪です。
刑法 第176条 13歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は,6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し,わいせつな行為をした者も,同様とする。 |
強制わいせつ罪の罰則は「6月以上10年以下」となるように,条例違反よりも重く定められています。
それでは,条例違反と強制わいせつ罪の違いはどこにあるのでしょうか。
条文上の違いとしては,その痴漢行為に及んだ場所による区別があります。
条例違反の場合は「公共の場所」又は「公共の乗物」という限定がありますが,強制わいせつ罪の場合はこのような限定がありません。
つまり,自宅や宿泊施設の部屋やトイレの中といった空間の場合は条例違反ではなく強制わいせつ罪として処理されることになります。
また,行為態様としての違いは,条例の場合は「衣服等の上から,又は直接身体に触れる行為」という文言ですが,強制わいせつ罪の場合はこのような限定がありません。
例えば,無理やりキスをするような行為は条例違反ではなく強制わいせつ罪に該当すると考えられます。他にも,下着の中に手を入れたり,執拗に胸部を触るような行為等も強制わいせつ罪として捜査が進む可能性があります。
強制わいせつ罪には条例と異なり罰金刑が設定されていません。
罰金の場合は,公判での審理を省略する「略式」という手続がとられることがありますが,強制わいせつ罪として起訴されてしまうと公判廷での審理を受けなければならないのです。
公判廷での裁判は誰でも傍聴ができますし,場合によっては裁判の結果等が新聞等で報道される可能性もあります。
そのため,被害者との示談など行い,不起訴処分にもっていく必要性が高いのです。
痴漢行為により強制わいせつ罪で捜査がされているような場合,経験を積んだ弁護士に相談することをお勧めします。
電話またはメールにてお気軽にお問い合わせください。